あまり知られていないマイナーなブドウ品種のご紹介です。
まずメジャーな世界のあちこちで栽培されている誰もが知っているブランド的ブドウ品種(例えば、カベルネ・ソーヴィニョン、メルロー、シャルドネ等々)は国際品種と言われます。
一方、土着品種はその地方発祥の品種で、気候、テロワールに適している特性があったり、国際品種の亜種でDNA、クローンが違い、場所によって呼び名が違う品種だったり、伝統的で個性的な味わいを表現することができます。地味な印象ながら長い歴史があり、個性的で魅力あふれるワインを造ることができます。
これからご紹介する品種のワイン、地元に根付いたレアなブドウのワインにチャレンジしてみてください。
世界中に土着品種は存在しますが、今回は南フランス編(ラングドック、コルス)です。
【ラングドック Languedoc】
南フランス、地中海性気候、ブドウ栽培はローマ時代に発展し定着した長い歴史のある場所です。いろいろな文化が交わる中で様々なブドウ品種もこの地方に入ってきています。
■黒ブドウ
カリニャン・ノワール Carignan Noir スペイン北東部が起源といわれています(カリニェナ)。スペインと地中海沿岸のフランス全域で多く栽培されています。変種も多く、カリニャン・ブランもその1種。 味わい:黒い果実のコンフィ、スパイス感がありながらも、フレッシュでのど越しが良い。
●サンソ― Cinsault 南フランス発祥の品種で、ロゼのアッサンブラージュに使用されることが多くそのキャラクターを閉じ込められています。しかしその多面性は感動に溢れています。果実味豊かで、収量を制限することで凝縮感と豊かなアロマをもたらします。 味わい:イチゴやサクランボのアロマにスパイスのノートが余韻に残る。
■白ブドウ
●カリニャン・ブラン Carignan Blanc
カリニャン・ブラン種は地中海特有の希少な品種でありラングドック地方全体で250ヘクタール栽培されているだけで、栽培面積が減少し、消滅の危機ともいえる品種。 味わい:ミネラル感を伴うフレッシュでフローラルな味わい。
オリヴィエ・コストはラングドックでこれらのブドウ品種単一のバラエタル・ワインを造っています。是非お試しください。 https://www.ywc.co.jp/wineries/winery.php?id=122
【コルス Corse】
コルス (コルシカ)は地中海で4番目に大きい島です。1768年に事実上フランス領となりますが、イタリアの都市国家に支配されていた時代が長く、イタリアの影響が今も残る一方、コルシカ独自の文化も根強く、ワインにも表れています。自然豊かで2500m級の山岳地帯や海がある起伏のある地形、偏西風、フランス・ローヌ渓谷から、アフリカからと多様な風の絶えず吹く島です。伝統的に栽培されている土着ブドウ品種を尊重している生産者が多い。
■黒ブドウ
●シャカレッロ Le Sciaccarellu
その名前はシャカレリュというクリスピーな、と言う意味の形容詞から来るコルシカ島特有の品種で、島の花崗岩質の土壌に広く植えられています。高貴でしなやかな赤ワインを造ります。控えめな色合い、特徴的な胡椒のブーケ、赤い果物、スパイス、コーヒー、灌木地帯の花などのアロマ。その味わいはピノ・ノワールによく例えられます。
●ニエルッチョ Le Niellucciu
イタリアのサンジョヴェーゼと遺伝子レベルで同一又は親戚的な品種。イタリア都市国家ジェノヴァの支配下にあった時代にコルスに持ち込まれたようです。この品種はワインに深い色合いを与え、フィネス、ブーケの強さを担います。ウッディなニュアンスと共にスミレのアロマなど。成熟が進むとスパイスやマキの花のアロマが現れます。
●ミニュステリュ Le Minustellu スペインのグラシアーノと同一の品種と考えられています。赤ワインのブドウ品種で黒い果実、サクランボやメンソールやカカオ等のノートを伴うドライ・フルーツにしなやかで絹のようなタンニンをワインにもたらします。アッサンブラージュのための品種です。
■白ブドウ
〇ヴェルメンティーノ(マルヴォワジー・ド・コルス) Vermentinu (Malvoisie de Corse)
コルシカではマルヴォワジーとも言います。この品種は地中海沿岸で高品質の白ワインを造ります。辛口でボリュームがあり、アルコール度数の高めの白ワインになることもあります。黄緑のディスクを持ち色は薄目、花のアロマが、リンゴ、アーモンドのアロマ。
〇ビアンク・ジョンティレ Biancu Gentille
この昔からあるコルシカ特有の品種は絶滅の危機に陥っていましたが、90年代に伝統品種として見直され復活しました。熟した白い果実やフレッシュなアプリコット、砂糖漬けのオレンジ、蜂蜜、バターなどのノートなどフィネスをワインにもたらします。
アルジプラトゥのワインでこれらの土着ブドウを体験してください。https://www.ywc.co.jp/wineries/winery.php?id=120
